IASBは、第2の柱モデルルールから生じる繰延税金の会計処理要求事項に一時的な例外を設ける、IAS第12号の修正を公表しました。

IASBは、IAS第12号「法人所得税」の修正「第2の柱モデルルール」を公表しました。

2021年12月、経済協力開発機構(OECD)は大規模な多国籍企業に最低法人実効税率15%を課す第2の柱モデルルールを公表しました。利害関係者は当該ルールの適用から生じる繰延税金の会計処理の不確実性に懸念を示し、多くの法域で当該ルールの適用が目前に迫っていることも踏まえ、早急な明確化が必要と主張しました。IASBはこの利害関係者の懸念に対応するため、IAS第12号の修正を公表しました。


本修正は、以下の通りです。
①    
各法域での第2の柱モデル適用から生じる繰延税金の会計処理に、IAS第12号の一時的な例外を導入する。企業は、第2の柱の法人所得税に係る繰延税金資産及び負債について、認識及びそれらに関する情報の開示を要求されず、また許容もされない。企業には、この例外を適用した事実の開示が要求される。
(IAS第12号 4A、88A)

②    
第2の柱モデルルールから生じる企業の法人所得税上のエクスポージャーについて、投資家が(特に当該ルールの法制化前に)より良く理解するため、的を絞った次の開示が要求される。
・第2の柱の法制が制定または実質的に制定されているが未発効である期間において、企業の法人所得税上のエクスポージャーを理解するための既知または合理的に見積可能な情報(88C)
・第2の柱の法制が発効後の期間において、第2の柱の法人所得税に係る当期税金費用(収益)を区分して開示(88B)


①の要求は直ちに発効し、IAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従った遡及適用が求められます(98M(a))。
②の開示要求は、2023年1月1日以降開始する事業年度より発効します。企業は2023年12月31日以前に終了する期中報告期間には、当該開示を要求されません(98M(b))。
なお、IASBは第2の柱モデルルールが企業に与える影響が明確になった後、これらの要求の再検討を予定しています。


IASBのプレス・リリースはこちらより確認できます(リンク先に移動します)。

また、第2の柱モデルルールに関連した令和5(2023)年度税制改正内容について、こちらの記事で解説しておりますのでご覧ください。