IASBがIAS第21号「外国為替レート変動の影響」の修正「交換可能性の欠如」を公表しました。
2023年9月 12日
IASBは、IAS第21号「外国為替レート変動の影響」の修正「交換可能性の欠如」を公表しました。
修正前IAS第21号第26項では、通貨間の交換可能性が一時的に欠如している場合の取扱いを定めていましたが、交換可能性が長期的に欠如している場合の取扱いは示していませんでした。そのため、利害関係者からはこのような場合の会計処理にばらつきがあるという懸念が寄せられました。
本修正はこのような懸念に対応するもので、企業に以下を行うことを新たに要求しています。
①ある通貨が他の通貨に交換可能であるかどうかを評価する(第8A項)
②交換可能でない場合は、企業が直物為替レートを見積る(第19A項)
①について、交換可能とは、企業が、強制可能な権利・義務を生じさせる市場または交換メカニズムを通じて、法律上や規制上、祝日といった通常の実務的な理由による遅延を考慮した一定の時間内に他の通貨を取得することができる場合、と定義しています(第8項)。 本修正では、当該評価にあたっての考慮事項を示した適用ガイダンスも追加されています(A2~A10項)。
②について、通貨が他の通貨に交換可能でない場合、企業は直物為替レートの見積りを要求されます。企業が見積る直物為替レートについて、基準では具体的な見積り方法は示されていませんが、観察可能な調整されていない為替レート(A11~A16項)または他の見積り技法による為替レート(A17項)を使用できるとしています。
他の通貨に交換可能でないことにより直物為替レートを見積っている場合、以下に関連する情報の開示が要求されます(57A項)。
(a)他の通貨に交換可能でない通貨の性質及び財務的な影響
(b)使用した直物為替レート
(c)為替レート見積りのプロセス
(d)他の通貨に交換可能でないことにより企業が晒されているリスク
これらの情報を開示するにあたって、具体的な開示事項が適用ガイダンスで示されています(A18~A20項)。
本修正は2025年1月1日以後開始する会計年度から適用されますが、早期適用も認められます(第60L項)。
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